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林の構造

・林分の組成と環境の関
    樹木の分布は気候によって異なります。日本海側は多雪地、太平洋側は少雪地となっているために森林の様子も大きく違っています。日本海側山形県の月山では、太く背の高いブナが一面に広がっています。ですがそれ以外の樹種は少なく、中程度の木もあまりみられません。一方で宮城県仙台市の山ではミズナラやコナラ、その他たくさんの種類の木があり、大きい木から中程度、そして小さい木までが共生・競争している様子をみることができます。なぜそのような森林の組成の違いが生じるのか、という疑問を気温や降水量などの気象データ、樹木のサイズ、森の中の光環境、樹木年輪などを調べることによって明らかにしていくことができます。

 

・ブナの展葉・落葉フェノロジーと環境の関係
    ブナは5月上旬に一斉に葉をつけ、光合成を開始します。10月上旬から紅葉を始め、11月には葉を全て落とします。季節が移り変わることによる気温などの変化が樹木のフェノロジー(季節の移り変わりにともなう樹木の状態の変化)に関わってきます。

同時期でも山の標高の高いところではまだ展葉していないけれども、低いところでは展葉が始まっているなどの違いがあります。山形県の月山道路ではその様子をみることができます。それを記録し、気象情報などと組み合わせることでブナのフェノロジーについてより詳しく明らかにすることができると考えています。

↑標高によって展葉時期が異なるブナ    ↑一斉に葉を開くブナ

・森林の3次元構造に関する研究
    森林の光環境は林冠面では明るく、林床面では暗いといった垂直勾配がみられます。樹木はこのような光環境に適応しながら生きており、上層木は明るい環境に、下層木は暗い環境に適応する上で樹形を変化させたり光合成能力を変化させたりしています。また、下層木の中でも高木樹種の稚樹はその後大きく成長するのに対し、低木樹種の稚樹はあまり成長しないことが分かります。そこで、上層木と下層木の成長特性や樹形などを調べることにより、それぞれの樹木がどのように生きているのか、またそれが足し合わさ​れることにより森林の構造や機能がどのように成り立っているのか明らかにすることができます。

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