森林生態学研究室
山形大学 農学部 エコサイエンスコース
修士課程:山形大学大学院農学研究科 農学専攻 生物環境学領域
博士課程:岩手大学大学院連合農学研究科 地域環境創生学専攻 地域資源・環境管理学連合講座
土壌圏における有機物の動態
・落葉を利用する様々な生物と分解機能
秋になると林床面は落葉で覆われます。しかし、春を迎えて夏も終わりになると林床面の落葉のほとんどは消えてなくなっています。どこにいっているのでしょうか? このような落葉は菌類や様々な土壌動物によって分解されています。そこで、こうした分解者がどのようにして落葉を分解するのかについて、大型土壌動物(例としてダンゴムシ)の視点、中型土壌動物(ダニやトビムシ等)の視点、菌類の視点から明らかにしたいと考えています。
・土壌中における有機物の無機化
植物は主に無機態の窒素やリンなどを利用するため、植物が有機物を栄養として用いるためには有機物を無機態に変換する必要があります。山火事や焼畑では火の影響により土壌有機物の無機化が進みます。また植物自身も根系からこれらを分解する酵素を分泌して無機化を促進することがあります。そこで、土壌中の有機物がどのように無機化され、植物が利用可能な形になるのかについて環境要因や植物の栄養塩利用特性と関連付けながら調べています。
・変形菌による分解微生物の組成変化が枯死木分解に及ぼす間接効果
変形菌とは落ち葉や枯死木を生活圏とした主に変形体と子実体の生活史を持つアメーバ生物です。その最大の特徴が変形体時に移動能力があることです。そのため、変形菌は森林内を移動しながら、落ち葉や枯死木内の分解微生物を食べて成長していると考えられています。しかし、森林内での生態や変形菌が森林生態系に及ぼす影響については未解明である点が多いのが現状です。そこで森林内での分布やその季節性の解明のための野外調査と枯死木への変形菌の接触による分解微生物の組成変化の解明のための室内実験を組み合わせることで、変形菌が枯死木の分解に及ぼす間接効果を明らかにしたいと考えています。


枯死木上の変形体と子実体の中間
枯死木上の子実体

培養中のイタモジホコリ