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沢の環境と生態系


 

・降雨パターンと樹木の蒸散・河川への流出

 降雨により土壌に供給された水分の一部は樹木に吸収され、蒸散により大気中に放出されます。残りの水分は土壌を通って渓流に流出します。また、蒸散速度は日中上昇し、夜間はほぼ0になるという日変化を示します。降雨パターンと蒸散の日変化という2種類の時間スケールの中で森林の水環境がどのように維持されているのか調べています。また、庄内という多雪地において春季融雪と土壌水分や渓流への水流出の関係についても調べようとしています。

 

・谷の中の下層植生と微地形の関係

 多雪地の谷環境では雪による撹乱が恒常的に起こっています。また、渓流に近い場所では水分が高く、渓流から離れると水分は低くなります。このような環境では下層植生のβ多様性が高くなります。そこで、植物がこのような環境で適応的に生きるしくみを明らかにすることで、谷の中の植生の安定性について評価しようと考えています。

 

・河川の環境変化と水中に生育する生物

 降雨や気温変化や降雨などにより渓流の環境は大きく変化します。すると渓流に生息する様々な生物の生育環境も変化することになります。そこで、渓流に生育するイモリを指標種として渓流環境の変化と個体の移動、個体群の分散の関係を明らかにすることで渓流の水文学的特性が生物相に及ぼす影響を評価しようとしています。

​    ↓降雨による渓流の環境変化

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​↑普段の調査地の様子。

 流速は比較的速いものの水深は浅く、水は澄んでいる。

→大量の降雨後の様子。

 流速、水深共に増加し、水中は上流から運ばれてきた土砂に

​ より、茶色く濁っている。

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指標種であるアカハライモリ。

赤と黒の斑点で構成された特徴的な腹部は個体差が大きく、同じ模様は存在しない。

​そのため、腹部の模様によって個体の識別が可能であり、継続した個体識別によって個体の移動を把握することができる。

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