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樹木生理と森林生態を結びつける

・外来種の生態と機能
 侵略的外来樹木は在来樹木の生育環境を脅かし、生態系に悪影響を及ぼしていると説明されています。ここでは外来樹木が在来樹木よりも成長が早い理由、生育地を拡大させるメカニズムを調べることにより、外来樹木は本当に生態系に悪影響を及ぼすのか?どのような管理をすれば外来樹木の繁茂をコントロールできるか?という疑問に科学的に答えています。

・萌芽による樹冠・樹幹の再生

 樹木は切られたり傷ついたりしたときに、萌芽再生をおこなうことにより回復しています。また、幹が古くなった際にも地面から萌芽をおこない「株立ち」となることにより、幹を新しくすることができます。そこで、萌芽をおこなうことは樹木にとってどのようなメリットがあるのか?樹種によって萌芽のしやすさはなぜ違うのか?という疑問について機能的な側面から研究をおこなっています。


・積雪地における落葉樹・常緑樹の生態

高木層のお話

 本研究室の調査地に含まれる山形県日本海側の森林は、春先に残雪が多く見られます。ここにあるブナやミズナラなどの高木は、まだ雪が残っている環境下で展葉することができます。研究を進めていくと、その年の通水を担う道管形成の開始や、樹液流速の増加の開始よりも先に冬芽がいち早く水を吸って開葉することがわかってきました。根や幹が雪の下にあるのに枝先では吸水し、土壌が温められる前に芽吹くことができる仕組みの解明に取り組んでいます。

                ↑芽吹きまでの冬芽の様子

林床のお話

 冷温帯の天然林では落葉広葉樹が優占していますが、林床面にはちらほら常緑広葉樹がみられます。常緑樹は冬季の間、雪に守られているため低木として生きていけるといわれています。また、現在ブナが優占している森林も温暖化によって将来常緑樹林になると予想されます。そこで、常緑樹は寒い冬をどのように乗り越えていくのか?落葉樹と常緑樹を同じ環境で育てるとどちらの方が成長するのか?ということを調べることによって、雪国での落葉樹と常緑樹という生き方の違いを現在および将来の視点から明らかにしています。

 

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